“ふく式家計簿”のススメ (1) 複式簿記のメリットとデメリット
みなさんご存知の福沢諭吉。彼は複式簿記を日本に導入した人です。
私は現在、複式簿記で家計簿をつけ、家の収支、資産、負債を管理しています。
「複式簿記で家計簿」な人が増えるといいなぁと思い、記事を書くことにしました。私の名前に加え、みなさんに福が来たるように“ふく式家計簿”と名付けました。“ふく式家計簿”とは企業会計に使われる複式簿記を簡略化して、家計簿に適した形に応用したものです。
目次
なぜ複式簿記で家計簿?
なぜ家計簿をむずかしそうな複式簿記でつける必要があるのでしょうか?
実際のところメリットはいろいろありますが、絞ってみると下記の3点でしょうか。
1. すべての家計状況がよくわかる
2. 集計や変動を見るのが簡単
3. 企業の決算資料が読めるようになる
メリットについて細かく説明する前に複式簿記ででてくる2つの表について説明しておきましょう。
バランスシート(貸借対照表)と損益計算書
“ふく式家計簿”において家計の状態を一発で表してくれるのがこの2つの表です。
バランスシート
バランスシートは一般には貸借対照表と呼ばれますが、名前がいまいちわかりにくいので“ふく式家計簿”ではバランスシートと呼ぶことにします。
何がバランスしているのかというと、表の左側と右側です。資産と負債+純資産が常にイコールになっていて、バランスしています。
資産とは自分の家庭が今もっているすべての金融財産です。預貯金をはじめ土地や家、年金、保険、株式、投資信託などです。
負債とは簡単に言うと借金です。住宅ローンやカーローン、消費者金融からの借金はイメージしやすいと思いますが、実はクレジットカードを使った分もここに含まれます。
純資産とはなんでしょうか。計算としては今もっているすべての資産から負債を引いたものです。簡単に言うと「本当に自分のものと呼べるお金」です。文字通り“純”な資産なわけですね。負債は自分のお金ではなくどこかから借りてきたお金ですので、いつか返す必要があり、利子も発生しますが、純資産のお金は返さなくてもいいし、利子も払う必要もありません。
つまり家計では資産の増加はもちろん純資産の増加が非常に大事になります。
損益計算書
損益計算書はその名の通り、「どれぐらい損したのか?どれぐらい得したのか?」を表示してくれるものです。上図の利益を計算するためのものです。
これはふつうの家計簿の結果に近いもので、入ってきたお金と出ていくお金を集計したものです。この損益計算書で出た利益はバランスシートの純資産の部分を増やしてくれます。
メリット
1. すべての家計の状況がよくわかる
当たり前ですが、毎日のお買い物や光熱費の支払いなどを記録していくので現金支出が管理できます。
そして、ふつうの家計簿にはない最大のメリットは、現預金だけでなく、不動産、株式、投資信託、クレジットカード、奨学金、太陽光発電の売電収入、などすべての家計の動きを踏まえたお金の状況を把握することができる、ということです。
複数の口座(銀行口座や証券口座)があってもお金の状況が把握しやすくなります。
「どこから入ってきたお金がどこに使われているのか」、あるいは「どういった形でお金をもっているのか」、「何にお金を使っているのか」、など様々なことがわかるようになります。
2. 集計や変動を見るのが簡単
基本的に紙ではなくソフトを利用するので、月ごとや年ごとなどの集計が簡単です。
収入と支出だけでなく預金や不動産の価値など、いろいろなものの変動がわかってくるようになります。
3. 企業の決算資料が読めるようになる
これは付随的ですが、家庭の資産形成にとっては非常に価値のあるメリットです。
企業の会計というのは複式簿記に沿って行われます。そしてでてくる決算資料も当然
“ふく式家計簿”と同じ2つの表です。
普段から2つの表を見慣れていれば、企業の決算資料を見て、その企業が「どこからお金を得て、どう使って、どう儲けているのか」が一目瞭然になります。
これによって、今まで興味のなかった株式投資などにも興味がでてくるかもしれません。私は個別の企業への投資を広くすすめるわけではありませんが、投資信託などにお金を預ける場合でも、個別企業の状況がわかるのとわからないのでは雲泥の差です。
デメリット
1. 記録がめんどくさい
ふつうの家計簿と比べると少々記録はめんどくさいでしょう。が、1分が10分になったりはしません。せいぜい2倍ぐらいのめんどくささだと思います。
あとで得られるメリットを思えば、多少のめんどくささは我慢しましょう。詳細なお金の動きがわかってくるので、ふつうの家計簿がつけられない人でも逆に継続できるかもしれません(私はこのタイプです)。
計算はパソコンがしてくれますので最初に設定だけしておけば毎日の記録をぽちぽち打ち込むだけです。もちろんまとめて打ち込んでもかまいません。
2. へそくりがしにくい
これはへそくりのある奥様にとっては大事件ですね。
ふつうの家計簿と比べて、家計の状況がセキララになるので、へそくりはしにくくなるかもしれません。もちろん家族には見せない前提で、へそくりも含めて記録してしまう、というのもアリですが。
企業だと問題ですが、二重帳簿や裏帳簿をつけても個人の家計簿なら心配ありません(笑)